明らかに早川版の間違いと思われる箇所は訂正した。
Gereulach éü,
Sicé dozzote dar carsarr factina.Farer dozzoth,
R'a sotle nilora rÿal dar üaiponéra.
dozzoth 【名】(2)望み。
factina【形】命の短い。
nilore【動】看取る。
rÿac【名】(3)末、終末; 子孫。
üaiponére【動】老衰する。
第四連は第二連とほぼ同じ構造の文からなる。とくに十五行目からの二行は、構文の上では第二連冒頭の二行とまったく等しい。ただし相違点として、呼びかけの対象が gereulach という集合名詞であること(gereuc の語幹に集合名詞化語尾 +lach を付加する)が注目される。
なお、六行目(第二連第一行)の frybarec とともに、gereulach が da(汝)という二人称代名詞で受けられるのは、擬人化のためである。一般に人称代名詞は知性体に対して用いられる。非知性体に二人称で呼びかける、あるいは非知性体を三人称代名詞で名指すことは、飼い猫に呼びかける等の擬人化を伴う場面以外には稀である。
七行目とまったく同じ構文。ただし dar が受ける内容について語法上の相違がみられる。
前行の呼び掛けの対象は gereulach である。Gereulach は、星ぼし、星たちと訳され恒星の集合を意味する。しかしここ十六行目では、gereulach は単数二人称 da(文中では生格 dar として現れる)によって受けられる。この揺れはすでに前回指摘した、名詞の単数・複数の区別がアーヴ語には存在しないことに起因する。gereulach はあくまでも星の集合を意味する単語であり、星の複数形ではないのである。したがってアーヴ語文法の数の概念からは、gereulach を単数代名詞で受けることはさほど不自然ではない。
八・九行目とほぼ同じ構文。九行目の構文には若干の相違が存在する。改めて云うまでもないことであるが、Farer の意味上の内容は Abh である。
十八行目は R'a sotle + 分詞句。九行目との相違は、ここ十八行目では直接目的語のみを必要とする他動詞 nilore が分詞句を形成することにある。
nilora は対格を目的語に取る他動詞 nilore の分詞形、不定相。ここでは rÿal がその目的語。rÿal は rÿac の対格であり、その内容は rÿac を修飾する名詞節 dar üaipone'ra により説明される。なおここでも dar は gereulach を受けて用いられている。
分詞 üaiponéra は自動詞 üaiponére の分詞形、不定相。未来の事象であるにもかかわらず、未然相ではなく不定相が用いられるのは、ほぼ確実に起こることについての陳述であることによる。直前に生格 dar があることからも分かるように、ここでは分詞形は文法上名詞と同じように扱われている。これを分詞の名詞的用法と呼ぶ。
答えは各自自己採点すること。
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